Leif Ove AndsnesのSchubertピアノソナタ第19番ほか

Leif Ove Andsnes

Leif Ove Andsnes(レイフ・オヴェ・アンスネス)によるSchubertピアノソナタはこれまで何枚か出ていたと思いますが、今回やっと私の好きな19番(D958)が入ったので買ってみました。これまでと同様Ian Bostridgeによるリート(今回は竪琴弾きの歌D478と墓堀人の郷愁D842)が併録になっています。

感想はというと、正直あまり芳しくないです。Andnensのことだから、(前回のHorizonと同様)きっとあっさり薄味なんだろうなとは思っていましたが、EMIのイマイチ(?)な録音と相まってか、薄味という言葉だけでは済まされないような、起伏のないのっぺりとした演奏という印象です。思い入れというか内在するエネルギーというか、そういうものが感じられず、淡々と、あるいは平然と弾き進められていくよう。フレーズや段落の切れ目でのタメとか加速・減速といったアゴーギクがあまりない上に、強弱のコントラストや音色の変化も少なめなのが大きいと思います。音にも深みやニュアンスといったものがあまり感じられません(これは録音の影響が大きい?)。第1楽章展開部でのバスの(ちょっと不気味な感じの)フレーズなど、何の思い入れもなく無表情に弾かれるのを聴くと、不感症?と思ってしまうほど。Virgin時代のGriegのピアノソナタで見せたあの感性はどこへ行ってしまったのかという気持ちです。第2、3楽章も同様なんですが、ただ終楽章は速めのテンポと相まって、どこか無窮動曲を聴くような面白さはあります。(それでも主題ごとの変化がなく、出だしのペースのまま最後まで突き進んでいくのは曲の本来の姿とは思えませんが。)

一方の併録のBostridgeの歌は、実は曲も含めて今回初めて聴くのですが、安定感と伸びのある声で悪くないです。惚れ惚れする、というところまではいきませんが。