Gramophoneの7月のEditor's Choice(Top 10 Recordings)を見ていたら、Markus Groh(マルクス・グロー)によるLisztピアノ曲集が載っていたので、Liszt好きとしては一応押さえておいた方がよいかな、ということで買ってみました。曲はロ短調ソナタ、BACHの主題による幻想曲とフーガ、死の舞踏(ピアノソロ版)の3曲。以前も書いたようにEditor's Choiceは必ずしも当てにならないのですが(例えばどこの国でもあるように、自国もの*1に甘い気がします)、最近ではこのブログでも取り上げたSchuchのデビュー盤やMelnikovのScriabinも選ばれていて、目の付け所はなかなか悪くないようです。
聴いてみたのですが、まず最初のロ短調ソナタは、整ってはいるけどもう一つ押しが弱いというか、これといった特徴に欠けるという印象。技巧的にすごくキレがあるとか、読みが深いとか、解釈が個性的とか、そういうウリみたいなものがあればいいんですが、フツーに弾き終えてしまったという感じで、良く言えば堅実。コンクールだったらこれでもいんでしょうけど(ちなみにGrohは'95年のエリザベートコン優勝者)、あえてCDを出すのであれば何か訴求点がほしいところです。次のBACHも同様で、ことさらにあげつらうような欠点もありませんが、全体にどことなく落ち着いてしまった感じで、個人的にはもう少し畳み掛けるような迫力やキレ、スケール感などがほしいところ。(ちなみにこの曲の演奏では最近では前回2003年の浜コンの1次での田村響君のライヴ録音が印象に残っています。もっともその後のスタジオ録音はやや期待はずれでしたが。)最後の死の舞踏も、技巧を見せつけるような曲だけに(ピアノソロ版のCDは少ないのでその意味で多少存在価値があるでしょうが)やはりもう一段の技のキレがあるとよいかな。これもやはり以前見たLibettaのDVDの方が面白かった気がします(映像付きのせい?)。
というわけで、今回のは当てにならない方の例になってしまったようです。