Podger/CooperのMozartヴァイオリンソナタ集Vol.3

long_island2006-06-17

以前もこのブログで取り上げたRachel Podger(レイチェル・ポッジャー)とGary Cooper(ゲイリー・クーパー)によるMozartヴァイオリンソナタ集のVol.3が出たので迷わず購入。「迷わず」というのも、以前も書いたようにこのシリーズはこれまでSACDのためか値段が高めなのが難点だったのですが、今回はかなりお安くなって(戦略的価格設定?)心理的抵抗も少なくなっています。

聴いてみたのですが、相変わらずPodgerは上手いなぁ、というのが印象。ただ今回はVol.1, 2に比べると好きな曲が少なかったせいか、全体としての感銘はこれまでほど強くないかもしれません。もうひとつ、これも3回目になって多少聴き方が贅沢になってきたのかもしれませんが、ヴァイオリンとフォルテピアノの音のバランスが少し気になりました。要するにヴァイオリンが出すぎてるのではないかと。Mozartのヴァリオリンソナタはピアノとヴァリオリンが対等の立場のはずで、曲によってはピアノが主役でヴァイオリンは「伴奏」という曲もあるのですが、今回の録音ではPodger女史が「私が主役よ!」とでも言いたげなバランスになっている気がしました。その一因として、これまで私の愛聴盤だったBanchini/Vesselinova盤ではヴァイオリンが左、ピアノが右というように対向配置(?)みたいになっていて、より対等性や対話がわかるような録音になっていたからのようです。あと(これまでの録音ではそんなことはなかったのですが)、ピアノフォルテのCooperがVesselinovaに比べてやや大人しいというか、Vesselinovaの方が存在感があり雄弁な気がします。(そもそもこのヴァイオリンソナタ集を聴いて、彼女のピアノソナタ集を買う気になったくらいですので。)一方のヴァイオリンに関してはやはりPodgerの方が数段技量が上(実際、Banchiniでは音程が結構気になるところがある)ですが、BanchiniはKuijken譲りの音の魅力があって、これはこれで存在価値がありそうです。実のところ今回収録されたK.454やK.380ではどちらかというかBanchini/Vesselinovaの方がやはり好きかなぁ、という気がしています。