Petronel MalanのJ.S.Bachピアノ編曲集

Petronel Malan

ネットショップの新譜情報を見ていたら、Mozartイヤーにちなんでか、Hummelのフィガロ幻想曲とか、ThalbergやAlkanらによるMozart作品のピアノ編曲などを集めた面白そうなCDが出でいて注文したのですが、よく見ると同じピアニストで同様にIgnaz FriedmanらによるBachのピアノ編曲集が出ていたので、(Mozartほどには興味をそそられなかったのですが)ついでに買ってみました。で、Mozartの方はまだ届いていないので、先にBachの方の感想を。演奏はPetronel Malan(ペトロネル・マラン)という女流ピアニスト。2003年のリリースです。

聴いてみたのですが、イマイチでした。ともかく、編曲に多少無理があるのかもしれませんが、演奏の方が技術的にかなり苦しいというか、正直下手です。技巧的にそれほどdemandingでない曲はそれでもいいのですが、難曲ではテンポが走ったり、あるいはあからさまにテンポダウンしてしまったりと、まずテンポキープに難あり。それでもトッカータとフーガBWV565のトッカータ部分のようにある程度アゴーギクに自由度のある部分ならよいのですが、ブランデンブルク協奏曲第5番やトリオソナタ第6番のように、原曲ではインテンポ基本の曲でこれをやられてしまうとかなり聴き苦しいです(聴いていて辛い)。もちろんテンポ以外にも打鍵が不明瞭になったりタッチが洗練されていない面もあります。編曲に関しても(演奏がイマイチのせいもあるでしょうが)それほど印象に残るものはありませんでした。Bartokによるトリオソナタの編曲(世界初録音らしい)は、原曲が好きなので多少期待したのですが、ややゴテゴテした感じで、こういうオルガン曲は無理に音を重ねるよりもLisztのようにシンプルかつピアノの特性(俊敏性など)を生かしたような編曲の方が好ましく思います。

というわけで、Mozartについても自分の中での期待感がちょっと弱まっています。(キャンセルするほどではありませんが。)