Kuijken/La Petite BandeのJ.S.Bachカンタータ集Vol.2

Sigiswald Kuijken/La Petite Bande

前回に引き続いてKuijken指揮La Petite BandeによるJ.S.Bachカンタータ集のVol.2。今回は第177, 93, 135番の3曲です。歌手陣はアルトとテナーは前回と同じですが、ソプラノはThornhill、バスはCrabbenに変わっています。

全体的な印象としては、Vol.1に劣らず良い出来です。歌手で特に印象に残ったのは(出番が多かったせいもあるのかもしれませんが)テナーのGenz。Vol.1では特にそれほど目立たなかった気がするのですが、今回は4人の中で一番よかったのではないかと思います。バスのCrabbenは、93番などでのレシタティーヴォは悪くなかったのですが、本来はバリトンのためか、135番でのアリアでは低音域にやや余裕が無い感じがしました。(バスは前回のままの方がよかったかも。)アルトは本当は個人的には男声(カウンターテナー)の方が好きなんですが、下手なカウンターテナーよりは女声の方がよいでしょう。ソプラノも美声で悪くないですが、さらに余裕のようなものが感じられるとよいかも。

そして今回のようなOVPPでの真骨頂は当然のことながら合唱曲で現れます。ライナーノートでKuijkenが、Bachのカンタータの'Chor'を従来の(OVPPでない)合唱でやることを、Haydnの弦楽四重奏曲をオーケストラの弦楽合奏でやることに喩えていましたが、確かに(どちらが優れているということは抜きにして)それくらいの違いがあります。OVPPでは各声部の表情の変化が自在でニュアンスに富んでおり、人間味があります。(一方合唱ではそれらが均一・安定化して人工美のようなものが感じられるわけですが。)今回、93番は手元にHerrewghe盤があったのでそれと聴き比べてみたのですが、冒頭の合唱でそれを改めて感じました。ただその合唱曲を抜きにしても、録音などを含めて総合的にはKuijken盤に軍配が上がるでしょう。

というわけでこのシリーズは今後も目が離せなさそうです。ちなみに今回のジャケットの内側を見ると既にVol.3, Vol.4のジャケット写真も載っており、あとはリリースを待つばかりという雰囲気で今後が楽しみです。