Kuijken/La Petite BandeのJ.S.Bachカンタータ集Vol.1

Sigiswald Kuijken/La Petite Band

先日のブログでも少し触れたSigiswald Kuijen(シギスヴァルト・クイケン)指揮La Petite Bandeラ・プティット・バンド)のOVPPによるJ.S.Bachカンタータ集ですが、これも当然のごとく買ってみました。個人的にはむしろこっちの方が本命です。Vol.1は収録順に第98, 180, 56, 55番の4曲。歌手は上からKarthauser, Noskaiova, Genz, Woernerです。(なお先日は「全集プロジェクト」と書きましたがそれは勘違いで全部で20CDになるとのこと。1CDに3〜4曲として全部で60〜80曲、全カンタータの1/3くらいでしょうか。)

聴いてみたのですが、こちらは期待通りというか期待以上の出来。先日聴いたMilnes盤と比べると、録音、オケ、歌手のいずれについても1レベル上という感じです。(曲が違うので一概には言えない、と言いたいところですが、やっぱり曲が違っても明白です。)まずオケからして合奏での弦の透明感が違いますし、音にも臨場感があります(これは録音の問題かな)。実のところMilines盤のオケはどうもパッとしないな、でもまあこんなものなのかなと思っていたのですがKuijken盤を聴いてやっぱりそうでないことがわかります。歌手についても同様で、今回は(完全に満足とまではいかないにしても)4人とも納得いく出来。(先ほど全てにおいて1レベル上と言いましたが、Milnes盤で唯一気に入っていたバスだけは互角というところでしょうか。)アルトのNoskaiovaのは今回の盤ではレシタティーヴォしかなかったので十分に判断はできませんが。

今回はいくつか他盤を持っていたので軽く聴き比べてみたのですが、まず56番(バス独唱のためのカンタータ)はRifkin盤、Richter盤と比べると、Rifkin盤のJan Opalachは(買った当時は余り気にならなかったのですが)今聴いてみるとヴィブラートがちょっと気になります。一方Richter盤のFischer-Dieskauはさすがに抜群に上手いのですが、様式的にはちょっと違和感を感じます。また180番は(OVPPではありませんが)Coin盤と聴き比べると、ソロの曲はともかく、合唱曲は(単にCoin盤がショボいだけなのかもしれませんが)今回のOVPPによる演奏の方が断然優れているように思います。ちなみに今回のライナーノートを読むとKuijkenはOVPPについてますます確信を強めているみたいですが、私も恐らく何年か後には(現在、時代楽器によるBach演奏が当たり前となっているように)OVPPによる演奏が常識になっているのではないかと思います。

なお、今回もVol.2を一緒に買ったので、それについては次回に。