Sviatoslav RichterのJ.S.Bach平均律(インスブルック・ライヴ)

[CL4B-86060-2]

Richterのインスブルック・ライヴは初出時にちょっと試聴したことがあり、なかなか良さそうだから安い輸入盤が出たら買おうかなと思っていたらあっという間の回収でその後ずっと入手できず(と言っても積極的に探したわけでもないが)、最近になってやっと普通に買えるようになった。そういうわけで久しぶりに聴いたのだが、どこか同窓会で初恋の人に再開してガッカリ、という感じがしないでもない。スタジオ録音(BMG)の風呂場サウンドに比べると確かに音はクリアだが、録音がイマイチのせいかちょっと音がキツくて、もう少し表面がなめらかにコーティングされたような音を望みたくなる。またライヴということでトリルがピタっとキマってなかったり音が抜けたりテンポが安定しなかったり、というのもそこそこある。特に2巻のト短調フーガでは聞き苦しいミスもあったりして、Richterが生前発売を許可しなかったというのもそこらへんに理由があるのではと思ってしまう。