Joseph Moogの’Metamorphose(n)’

[claves 50-2905]

以前Lisztの協奏曲集を聴いたことがあるMoogの新アルバムは、metamorphose(n)と題したLisztやらGodowskyやらのヴィルトゥオーゾ・トランスクリプション集。冒頭のノルマの回想から、非常に若々しさを感じる。歌心とか語り口といった点ではまだ硬い面が多いが、明快な音色で小細工を弄せず直線的に攻める姿が清々しいし、それだけの技巧ポテンシャルもある。「戦争だ!」の3回目の繰り返しはやや勢いが弱まるのはちょっと惜しいが。その他の曲も概ね好印象だが、特に気に入ったのが最後に置かれたMoszkowskiによるWagnerのタンホイザーからの編曲。実はあまり聴いたことがなかった(初めて聴くかも)のだが、Lisztの編曲ほどではないにしても、絢爛で聴き応えがあり、もっと多く弾かれてもよい曲ではないかと思う。