Miroslav KultyshevのLiszt超絶技巧練習曲集

[Orfeo C759081A]

一昨年のチャイコンで最高位だったKultyshevのデビュー盤。彼もコンクールのときは聴いてなくて、残されている映像を見る分にはちょっと荒っぽいかな、とも思ったが、ともかくもチャイコンの覇者、曲もLiszt超絶ということで聴かないわけにはいかない。結果はなかなかの出来。技術的に高いポテンシャルを感じさせるし(鬼火は他の曲と比べるとちょっと苦手っぽい感じもあるが)、単に指がよく回るとか優等生的演奏というのではなく、覇気というか思い切りの良さがある。たとえばマゼッパ前半のスピード感などはたいしたもの。反面、普段よく聴いているOvchinikov盤に比べると、細部に至るまでの精緻さ、完成度の高さなどではまだ向上の余地があるかもしれない。いずれにしても今後の有望株である。