Li YundiのProkofievピアノ協奏曲第2番ほか

Li Yundi [B0010175-02]

Li Yundi(リ・ユンディ)/小澤征爾指揮ベルリンフィルによるProkofievのピアノ協奏曲第2番Ravelト長調協奏曲。この盤、国内盤はだいぶ前に先行発売されており、当時それを(それほど期待しないで)店内でちょっと試聴したところ、Prokofievの第2楽章のスピード感とキレの良さにビックリ、これは買う価値があると思ったのですが、持ち前(?)の貧乏人根性により輸入盤が出るまで待っていたものです。で、ようやくゲット。ちなみにProkofievの方のみライヴ録音です。

で、改めてProkofievを聴いてみたのですが、やはり良いですね。タッチが明晰でスピード感に溢れ、スポーティさというか爽快感といった面では手持ちのCDの中でも屈指と言ってもよさそうです。録音も優秀で、ピアノの音がとてもクリアに録られており、特に終楽章では通常オケの強奏で埋もれてしまうようなパッセージが聞こえてくるのはDGの録音技術の成せる業でしょうか(このあたりはZimermanのRachmaninovの協奏曲の録音を思い出します)。正直Yundiというと、ショパンコンクール優勝以来、レコード会社の商業戦略もあってアイドル的な売り出され方をしてあまりよいイメージを持っていませんでしたし、実際デビュー盤のChopinアルバムを聴いたときも、特にソナタについてはあまり感心しないところがあったのですが、今回のようにメカニックが重要な鍵となる曲では彼の良さが映えるようです。(そういえばそのChopinアルバムでも3曲のエチュードではその精確さと明晰さに感心したものです。)ちなみに第3楽章は相当速いテンポで、出だしなどはほとんど行進曲かと思わせるほど。この楽章は本当はおどろおどろしい(グロテスクな)雰囲気が欲しいところなんですが、でもこれはこれで面白いかなと思います。(ただ25小節目や29小節目の高音部のパッセージがはっきり出ていないのは残念。)

併録のRavelの方はあまり印象に残らなかったのですが、そもそもこの曲はそれほど好きでないというか感度が高くないせいもあるので、聴く人が聴けばきっと何かしらの特徴があるのかもしれません。