Michael KorstickのBeethovenピアノソナタ集Vol.3

Michael Korstick

Beethovenのピアノソナタ全集は現在もいくつかのプロジェクトが進行中だと思いますが(今思いつくだけでLewis,Oppitz,Ohlsson,Paik,内田,仲道など*1)、これもそのうちの一つ。例によって味見のために4番が含まれているこのVol.3を買ってみました。演奏はMichael Korstick(ミヒャエル・コルスティック)。曲は4番のほかに9,10,12番が入っています。

印象としてはもう一つといったところ。最大の関心事である4番でいうと、テンポやデュナーミク、アクセントのつけ方など解釈面では結構私の理想に近いものがあって良いのですが、細部の仕上げ方というか磨き具合、特に音に関しては不満が残ります。具体的にはフォルテで音の出し方がちょっとぶっきらぼうというか、パシャっと叩きつけるような美しくない音(主観的ですが)になるところ。これが録音のせいか楽器のせいか、あるいは奏法のせいなのかはわかりませんが。そして一度この音が気になってしまうと、あとはずっとそれを引きずりながら聴いてしまうのが恐いところです。(極端な話、フォルテのたびに身構えてしまうような。)あと4番の第1楽章では、フレーズ間の間を十分にとらずに先を急く傾向があるのは多少気になるところではありました。全体的に音(色)のコントロールに関してはもう少し神経を使ってもよいのでは、という感じです。

余談ですが、Oppitzの全集は何枚か試聴したところではなかなか良さげで買おうかとも思ったのですが、結構録音ペースが速いのでそのうち安く全集が出るのでは、という期待を込めて(全集嫌いの私ですが)今は我慢しています。

*1:後から思い出しましたが、Schiff,Hewitt,Polliniなんかも進行中でしたね。