Mozart Piano Quartetの弾くピアノ四重奏版Beethoven交響曲第3番ほか

Mozart Piano Quartet

今までもこのブログに何回か書いているように、交響曲や協奏曲を室内楽などより小さい編成で演奏したものに結構興味があるのですが、今回はBeethovenのエロイカ交響曲のピアノ四重奏版。Beethovenの友人のFerdinand Ries(1784-1838)が編曲したものだそうです。演奏はMozart Piano Quartet。併録は同じくBeethovenのピアノと管楽器のための四重奏曲Op.16の作曲者自身によるピアノ四重奏版。

印象としてはまずまずよく出来たというか、納得のいく編曲という感じ。Beethovenの交響曲室内楽版というと、Pro Arte Antiqua Prahaによる弦楽五重奏版のCDが出ていて私も5,7,8番を聴いているのですが、5番などは正直原曲のイメージからするとかなり迫力不足で物足りなく思ったクチなのですが、今回のはそういったことはあまり感じません。やはり(一種打楽器ともいえる)ピアノが入っているのが大きいのではないかと思います。(というのもBeethoven自身による交響曲第2番のピアノトリオ版も、やはりそういう物足りなさは少なかったので。)一方で、先ほどの弦楽五重奏版の7番では、特に第2楽章は、この版を聴いて曲の良さに開眼した(原曲以上の魅力を感じた)ということもあったのですが、今回のはそういったこともなくて、そういう意味では失望もない代わりにサプライズもないということになるのかもしれません。またこの曲はこの曲でよく出来ているとは思うのですが、併録のOp.16を続けて聴くと、やはりそちらの方が面白いなと感じる瞬間が結構あって、特にOp.16ではピアノが結構名技的なパッセージを繰り出すのに対してエロイカではピアノはあくまで全体に奉仕するという感じがあり、やはり室内楽は全体の調和だけでなく個々の奏者の「見せ場」みたいなものが必要なのだなと改めて思った次第です。