Alexandre DossinのLisztオペラ編曲集

Alexandre Dossin

NaxosのLiszt作品全集Vol.25はAlexandre Dossin(アレシャンドレ・ドシン)の弾く、Verdiのオペラに基づく編曲集。曲はリゴレットパラフレーズアイーダより神前の踊りと終幕の二重唱、トロヴァトーレよりミゼレーレ、ボッカネグラの回想、エルナーニパラフレーズなど全7曲で、(異版等を除けば)これでVerdiのオペラ編曲物はコンプリートのようです(他にVerdiのレクイエムからの編曲がありますが)。ちなみにDossinは'97年の浜コンに出ていて(2次まで進出)、そのときの印象は熟練の技を持つ、既に完成されたピアニストといった感じでした。(というか、どこかで聞いた名前だな、ということでこちらのレポートを読み直して思い出したのですが(^^;)。)

で、今回のCDも(浜コンのときの印象に引きずられるわけではないですが)似たような印象。強いインパクトがあるわけではないですが、普通に良いというか、ツボを押さえた好演といった感じ。技巧を前面に出して見せつけるという風ではなく、かと言ってモタつくわけではなく、曲を弾く上で必要な技巧であれば使うのには吝かでない、とでも言いたげな大人の余裕(?)みたいなものが感じられます。もっともドン・カルロシモン・ボッカネグラなどはこちらもあまり聴き込んでいるわけではないので、他の演奏と比べてあまりどうこう言えないのですが、少なくとも技術的な見苦しさを見せるようなことはありません。リゴレットパラフレーズのような有名曲は競合盤も多いだけにその中で独自の存在感を示すのは難しいですが、値段も考えるとこれらの編曲物に興味のある人は買って損はないでしょう。

ということで前回のAndaloroといい、このところのNaxosのLiszt全集はいい仕事しているなという感じ。一般的には無名でも活きのいい若手や、まだピーク期を過ぎていない中堅どころを積極的に使っているのが奏功しているような気がします。