Milnes/Motreal BaroqueのJ.S.Bachカンタータ集Vol.3

Eric Milnes/Montreal Baroque

OVPPによるもう一つのJ.S.Bachのカンタータ・プロジェクトであるEric Milnes(エリック・ミルンズ)によるシリーズは、Vol.1Vol.2を聴いた限りではKuijken盤ほどは惹かれず、今後は保留かなと思っていたのですが、今度出たVol.3を見ると有名な147番が入っており、またバス独唱のための82番も含まれていて、バスは前回気に入っていたMacleodが歌うので期待できそう、ということで買ってみました。他の歌手は、ソプラノのMauchが前回から引き続き、テナーのDanielsはVol.1から復帰、カウンターテナーのWhiteが新顔です。

そもそも私がJ.S.Bachのカンタータに開眼するきっかけになったのはRifkinによるOVPPシリーズだったのですが、'87年にリリースされたその記念すべき第1弾に入っていたのが147番。OVPPによる新しい演奏を聴くのはそれ以来になります。で、今回のMilnes盤を聴いて、この20年のOVPP演奏というか時代奏法というか、そういったものの進歩を見るようで非常に感慨深いものがあります。Rifkinの演奏も当時はその清廉さと透明感に感銘を受けたのですが、今聴いてみるとどこかこぢんまりしているというか、伸び伸びとしたところがやや足りないような感じがあって、その点今回のMilnes盤は伸びやかで生気に溢れ、歌手陣もどこか自信に満ちているような気がします。(まるで当時は懐疑的だったOVPPが広く認知されたことが影響しているかのよう。)

歌手陣も前回までに比べるとずっと印象がよくなり、Kuijken盤と比べてもまったく遜色ない感じ*1。今回は特にソプラノのMauchが気に入りました。バスのMacleodも悪くはないのですが、期待が大きかった分、もっとやれるのではないかという気もしていて、全体的にやや大人しめな印象。147番でのアリアなどはRifkin盤でのOpalachのふてぶしい(?)歌い方の方が好みな感じです(刷り込み?)。いずれにしても今後はKuijkenだけでなくこのシリーズからも目が離せなくなってきました。

*1:最初の盤での謳い文句の「前例のないほどの名歌手を揃え」たというのも何となくわかるような気がしてきました。