Lise de la SalleのMozart&Prokofiev

Lise de la Salle

Lise de la Salle(リーズ・ドゥ・ラ・サール)のCD第4弾はMozartとProkofievの2枚組。曲はMozartがロンドイ短調K511、ソナタ第6番K284、「ああ、お母さん聞いて」による変奏曲、Prokofievがトッカータソナタ第3番、「ロミオとジュリエット」10の小品から6曲。2枚目は収録時間がやや短いのですが、裏面がDVD(25分)になっていて、インタビューや練習風景、レコーディング風景などが収められています。(彼女のヴィジュアルに惹かれる人には嬉しいものかも。)ちなみに彼女のCDはこれまで必ず複数の作曲家を取り上げているのですが、これは彼女のポリシーであることがこのDVDを見るとわかります。

聴いてみたのですが、印象としてはもう一つだったかも。これは演奏というより選曲の問題もあって、要するに私の苦手というかあまり好きではない曲が結構多いという面も大きいです。(実際もしこれが知らない人のデビュー盤だったらきっと買わなかったでしょう。)Mozartに関してはソナタ第6番は正直ソナタの中では最も聴かない部類ですし、Prokofievも3番ソナタはそれほど好きな曲ではなく、ロミオとジュリエットもあまりピンとこないというのは以前も書いた通り。唯一大好きと言えるトッカータに関しても演奏は期待通りとは言えず、fやffでの連続和音の部分はもう少し力強さが欲しいところですし、なにより技術的制約なのかあるいは解釈なのか、ときどき不自然なタメが入るのが気になります。2枚のアルバムのBachで見せたように彼女の美質は入念なタッチのコントロールにあり、超絶技巧とかアクロバチックな動きとか、そういう曲で必ずしも強みを発揮するタイプではないと思っているのでそのあたりが現れたのかなという気はします。

今回の曲の中で気に入ったのはMozartのロンドK511で、この曲もそれほど感度が高いわけではないのですが、あまり深刻・悲愴になり過ぎず、さりげない中にも自然な情感がこもっているのは彼女のセンスでしょう。