Volodos plays Liszt

Arcadi Volodos

Arcadi Volodos(アルカディ・ヴォロドス)のLisztアルバム。国内盤は去年に発売されていましたが輸入盤もやっと出たということで遅ればせながら購入しました。曲はオーベルマンの谷、ハンガリー狂詩曲第13番(Volodos編)、小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ、葬送、婚礼など全10曲。

ここ何回かLiszt物のCDを採り上げていましたが、今回のVolodosの演奏を聴いて、やっぱり一味違うというか、上手いなぁというのが率直な感想。上手いというのは単に指がよく回るということだけではなく音色や歌い回しなど総合的なもので、大人の音楽という感じがします。(これまでの人の演奏が子供っぽいというわけではありませんが。)まず気がつくのが響きが非常に豊かなこと。鍵盤を叩くということがなく、まさに「響かせる」という感じ。緩徐部分でのとろけるような音色も印象的で、こういうのをsinging toneというのだなと感心します。もちろん技術的精度の高さはいつもの通り。というわけで非常によいCDだと思うのですが、最大の問題(?)は曲がそれほど私好みでないこと。全体的に渋めです。そんな中で面白かったのがハンガリー狂詩曲第13番。この曲もそれほど好きな曲ではないのですが、Voldosのおバカっぽい編曲と圧倒的な技巧は他ではちょっと聴けないもの。オーベルマンの谷も、終盤に加わっているVolodos節とも言える編曲(加筆)には思わず苦笑してしまうのですが、ベースは非常に真面目なもので立派な演奏と言えるでしょう。ともあれ今度Lisztを録音するときは私好みの曲をもっと入れてくれると嬉しいものです。