Lorene de RatuldのDutilleuxピアノソナタほか

Lorene de Ratuld

Dutilleuxのピアノソナタ(1948)は、集めているというほどではないですが結構好きな曲で、今回のCDもたまたま目にしたので買ってみました。併録がKarol Beffa(1973-)の6つのエチュード他というのも、(Beffaという作曲家は聴いたことがないのですが)エチュード好きな私としては背中を押す要因になっています。演奏はLorene de Ratuld(ロレーヌ・ドゥ・ラチュルド)という1979年フランス生まれのピアニスト。

感想としては、まずまず悪くない、というか割と良質のアルバムという印象。Dutilleuxのソナタの演奏は特に際立った特徴はないですが、曲のツボをソツなく押さえていて秀才タイプといった感じ。細かい部分まで音がクリアで粒立ちもよく、ちょっと覚めたというか客観的な感じなところなどいかにもフランス的という印象を受けます。

一方Beffaの作品はDutilleuxと作風が似ていて、知性的というかちょっとアカデミックな雰囲気。(拍子感もしっかりしていてワケワカメ系の現代音楽ではありません。)エチュードはLigetiのそれを感じさせるところもあって、ただLigetiほど無機的でもなく、抒情的あるいは潤いのあるLigeti、という印象です。特に2番と5番は無窮動的かつ打楽器的な書法が私好み。個人的には曲的にもう少しブッとんだところがあってもよいと思うのですが、そこはあくまで知情のバランスと洗練さを重んじるフランスの作曲家というところでしょうか(こればっか(笑))。