Severin von Eckardsteinのルール・ピアノフェスティバルライヴ

Severin von Eckardstein

前回の続きで今回はCD2のソロ・リサイタルライヴ。曲はSchubertの楽興の時、Ravelの鏡、Prokofievのソナタ第4番です。

前回の記事の最後で、ソロ・リサイタルも大いに期待、と書いたのですが、期待が大きすぎたせいか、(そもそも曲自体が必ずしもすべて好き、というか感度が高いわけではないせいもあるのですが)期待ほどではなかったかなというのが正直なところです。

彼の演奏の特徴としてテンポが非常に安定しているというか、インテンポ感があるというのがあって、以前MDGに録音していたProkofievの8番ソナタの終楽章などではこれが非常によい方向に働いていたと思うのですが、今回Schubertなどを聴くとそれがややもすると静的な、あるいは淡々とした、というような印象につながっているような気がします。個人的にもう少し切迫感みたいなものやリズム上の(意図的な)ひっかかりみたいなものがあってもよいのではないかと。有名な3番などかなりあっさりしている感じです。(4番でバスを強調するあたりは面白いと思いますが。)Ravelの道化師の朝の歌も、どこか重心が後ろに残っているような、安定感はあるけどリズムの躍動感はもう一つといった感じがあります。あと(ライヴのせいもあって)同音連打も完璧とは言えないのが惜しいところです。その点ではProkofievが一番向いているのかなという気はしますが、ただこの曲は私自身があまりピンときていないので、全体としては最初に書いたような印象になってしまいました。