Muza RubackyteのShostakovich 24の前奏曲とフーガ

Muza Rubackyte

Shostakovichの24の前奏曲とフーガは、もちろん嫌いな曲ではないのでCDも何種類か持っているのですが、実はそれらもそれほどじっくり聴き込んでいるわけではなく、その上にまた(特に気になる奏者によるものでもない)新盤を買うのもどうかなとも思ったのですが、2枚組で1000円という安さに釣られてつい買ってしまいました。演奏者はMuza Rubackyte(ムーザ・ルバッキーテ)。この人は以前Lyrinxから出ていたLisztアルバムを買ったことがあるのですが、ちょっと変わった解釈だったような覚えがあるくらいであまり記憶には残ってはいません。

でもその風変わりなLisztの印象がちょっとあったので、今回も(Mustonen盤とまではいかないまでも)個性的な演奏が聴けるかなと多少は期待していたのですが、聴いてみると至極まっとうというかオーソドックスな演奏のようです。(試しに演奏時間を比較してみたのがこちらですが、概ね中庸といった感じです。)というわけで演奏自体はそれほど悪くはないのですが、残響がやや多めの録音のせいか、滑舌が多少悪いように聴こえるのと、そのせいもあって各声部の分離があまりよくない感じがします。これは声部による音色やタッチの変化が少ないせいもあるかもしれません。このため特にフーガでは表情が一本調子になりがちな気がします。雑ということではありませんが、もう少し細部まで精緻に掘り下げてくれたらな、というところです。個人的には、既にこの曲集のCDを持っている人ならば(彼女のファンやコレクターでなければ)新たに買うには及ばないかなと思いました。

実はこの後、彼女のLisztアルバムをもう一度聴き直してみたのですが、解釈もそうなんですが基本的なテクニックにもやや疑問なところがあって正直あまり感心しませんでした。