Jura Margulisのピアノ・トランスクリプション集

Jura Margulis

Jura Margulis(ユラ・マルグリス)は実は割りと最近名前を知ったピアニストで、以前'Live on Horowitz Steinway'というタイトルの、Horowitzのピアノで弾いたという謳い文句のライヴCDを店で見かけて、迷った挙句結局スルーしたのですが、最近になってより興味の湧くピアノ編曲集のCDが出ていたので買ってみました。曲目はGluck/Sgambatiのメロディー、J.S.Bach/BusoniのシャコンヌSchubert/Lisztの歌曲4曲(水車屋と小川、水の上で歌う、影法師、魔王)、Caplet/Margulisの幻想物語「赤い死の仮面」、Wagner/Lisztのイゾルデの愛の死ほか、Saint-Saens/Liszt/Margulisの死の舞踏、Rimsky-Korsakov/Rachmaninovの熊蜂の飛行、Prokofievの3つのオレンジの恋から行進曲。(ちなみに最後のProkofievはジャケットには記載がなく、'Hidden Track'だそうです。)

この中で一番印象に残ったのはCapletの「赤い死の仮面」。初めて聴く曲で、というかCapletという作曲家自体を知らなかったのですが(^^;)、Debussyの友人というだけあってDebussy(あるいはRavel)を多少濃くした雰囲気があります。元はハープと弦楽四重奏のための曲だったということでアルペジオが多用されており、そこがピアニスティックで演奏効果のある曲に仕上がっています。最初の部分のdemonicな雰囲気も私好み。

他の曲については、シャコンヌSchubertの歌曲など有名どころが多いのですが、これらは既存盤に比べるとそれほど強い印象を残すには至らず。技巧的にも(下手とは言いませんが)鮮やかとかテクニシャンという感じはあまり受けません。録音のせいかタッチがあまり洗練されていないようにも感じます。歌心はあると思うのですが、魔王などはちょっと生硬な感じです。ただ死の舞踏は彼の編曲が入っていて新味があるということを差し引いても、悪くない演奏だとは思います。

ともあれ、このCDがよかったら彼の他のCDも買ってみようかなと思ったのですが、とりあえずは保留というところです。