BahramiのJ.S.Bach6つのパルティータほか

Ramin Bahrami

先日CDショップの新譜コーナーを見ていたら、Ramin Bahrami(ラミン・バーラミ)というピアニストによる、J.S.Bachの6つのパルティータとフランス風序曲を入れた2枚組CDが出ていて、ジャケットのセンスが良さげで何となく期待できそうな気がしたので買ってみました。一緒にゴルトベルク変奏曲も置いてあったのですが、とりあえずより好きなパルティータの方だけ。Deccaは最近はベテランとの契約も結構切って売れ筋だけに絞っているようですが、そこからデビューしてるぐらいなので期待の星(?)なのかもしれません。

実は家に帰ってから調べてみたら、BahramiのCDは数年前にauraから出ていた、やはりBachものを集めたライヴ盤を持っていて、(名前を忘れていたくらいなのでよく覚えているわけではないですが)そのときはライヴのためか熱くなってややコントロールを失っているような印象を受けましたが、今回はスタジオ録音なのでその辺は大丈夫かなと思って聴いてみました。

感想としては、惜しいというかやや残念な出来です。傾向としては、ペダルを抑制してやや乾いた音、アーティキュレーションが明確で、ちょっと高橋悠治に似た雰囲気もあり、かと言ってStadtfeldほど機械的に陥ることがなく、結構嫌いではないタイプです。繰り返しのときの変奏の入れ方もなかなかセンスがあります。というわけで音楽の方向性としてはいいのですが、問題は技術面で、全体的にタッチがやや不安定です。指もあまりよく回るタイプではないのか、5番の終曲などいかにも苦しそう。またときにテンポが走ってしまうこともあります。何度でも録り直しのきくスタジオ録音でもこうなってしまうとなると、技術の基礎的な部分でどこか欠けてしまっているところがあるのでは、という気になります。

ゴルトベルクの方は、パルティータよりさらに技術的な粗が見えやすいだけにちょっと厳しいかな、ということで当面は保留することになりそうです。