Petronel MalanのMozartピアノ編曲集

Petronel Malan

前回言ったPetronel MalanのMozartのピアノ編曲集が届きました。ジャケット写真を見ると、気のせいかBachのときより若返って見えます(若作り?)。曲はHummelのフィガロ幻想曲、Glinkaのモーツァルトの主題による変奏曲、Thalberg編曲のラクリモサ(レクイエムK.626より)、Alkan編曲のアンダンテ(弦楽四重奏曲第8番より)、Raffのドン・ジョヴァンニの回想、Reger/SalomonのMozartの主題による変奏曲とフーガなど。

感想ですが、Bachのときより良い印象です。曲の性質の違いもあるのでしょうが、Bachのときに感じたようなテクニックの不安定さはあまりなく、(華麗とか胸のすくような、というほどではありませんが)まずまず堅実にこなしていると言ってよいでしょう。今回は細かい指回りを見せるような曲が多かったのも良いほうに作用していると思います。ただ厳しく見れば、表面的にはキチンと弾いているものの、もうひとう踏み込みが浅いというか、強い印象を残すには至らないというのが正直なところかもしれません。(と言ってもこれは曲のせいもあるかもしれませんが。)全体的にもう少しスケールの大きさとか、音色の豊富さとか、歌いっぷりとか、そういうものがあればよかった感じです。

曲的には、ThalbergやAlkanは割と真面目というか派手さがなく、特にAlkanは彼の他のぶっとんだ曲を期待していると肩透かしを食らうかも。Hummelも、Lisztの同タイトル曲と比べればやはり古典的というか穏当で、やや食い足りない。今回の中ではRaffのドン・ジョヴァンニの回想が個人的には一番印象に残りました。やっぱりLisztの同タイトル曲に比べたら大人しいのですが、そのシンプル・ヴァージョンといった赴があります。Regerは相変わらずといった感じ(笑)。
とりあえずトータル的には買って損はなかったと思います。