BerezovskyのBeethovenピアノ協奏曲第6番ほか

Boris Berezovsky

Beethovenのピアノ協奏曲第6番Op.61a(ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.61の作曲者自身による編曲版)は、話題に上ることも少なくて、駄作とまでは言わないまでも、優れた原曲があるのにわざわざ演奏する価値があるの?、みたいな言われ方をすることもあるのですが、個人的には(継子扱いされた子が不憫に思われるわけでもないでしょうが)結構好きで、CD何枚か持っているのですが、また新しい盤が出た(といってもリリースは去年で、値段が高めだったのでしばらく保留していた)ので買ってみました。ソリストBoris Berezovsky(ボリズ・ベレゾフスキー)、オケはDausgaard指揮スウェーデン室内管弦楽団です。協奏曲第4番との併録。

感想なんですが、Berezovskyというと、個人的にはロマン派、特にロシアもの向きのピアニストというイメージで、正直彼の古典派はピンと来ない気がしていたのですが、案の定、私の想定する(というか好きなタイプの)Beethovenとはちょっとはずれていました。細かいところで小さなタメが入っていたり、弱音がちょっと感傷的であったりと、明晰で端正、という感じではありません。個人的にはもう少し1音1音をはっきりと、明確なアーティキュレーションとアクセントで弾いてほしい気がしました。ちなみこの6番の演奏の特徴として、第1楽章のテンポがかなり速めというのがあります。多分手持ちCDの中では最速でしょう。また(これは4番とも共通ですが)、オケが時代楽器的なアプローチでとてもvividな印象を受けます。これはBeethoven時代の演奏に近いように思われ好印象です。そうなるとソリストとのミスマッチがさらに目立つのですが、宣伝文によると指揮者がBerezovskyとの共演を望んだということで、何だかよくわからないなぁ、という気がしています。

2006/06/13追記:その後、耳直し(?)にMustonen盤を聴き直してみたのですが、オケはともかくピアノはそちらの方が断然良い(私好み)ですね。特にカデンツァや終楽章は原曲に負けないくらいの魅力があります。