Lydia JardonのScriabnエチュード全集

Lydia Jardon

Scriabinのエチュード全集のCDは、個人的に満足がいくもの(「聴き比べ」の基準で言えば◎とか◎-○に相当するようなもの)にまだ巡り合っていなくて、新譜が出ると(ハナから期待できなさそうな演奏者でなければ)とりあえず聴いてみるようにしているのですが、今回とりあげるのもそのような一枚。Lydia Jardon(リディア・ジャルドン)女史による演奏です。この人のCDは実は以前にも一度買っていて、Debussyの「海」のピアノ編曲版や喜びの島などが入ったものなんですが、実はJardonの名前で検索してみるまで気が付かなくて、(良くも悪くも)あまり印象に残っていません(^^;)。(ちなみに彼女はこの'AR ER-SE'というレーベルから何枚かリリースしているのですが、実はこれは彼女が立ち上げた、しかも女性だけのレーベルだそうです。)

演奏の方ですが、結論から言うとやっぱりもうひとつというところです。内声の扱い方や細かい表情のつけ方など、よく考えているのはわかりますし、解釈もそんなに嫌いではないのですが、曲によっては技巧の面でちょっと聞き劣りがするのが残念です。8-10などは流麗さに欠けますし、42-3(蚊)などは弾けてないと言ってもいいくらいです。有名曲の8-12や42-5もあまりパッとしません。最後のOp.65も(この曲は技巧的に満足できる演奏が非常に少ないのですが)あまりすっきりとはいきません。

というわけで、今回もまたやや残念な結果に終わりました。それにしても、Scriabinのエチュードは、RachmaniovやDebussyのそれと並んで近代曲のエチュードとしてコンクールでは定番なんですが、(RachmaninovDebussyと違って)これと言った全集のCDがなかなか現れないのは不思議です。(そもそもある程度メジャーなピアニストで全集を録音する人がほとんどいないのが不思議なんですが。)