Ronn Yedidiaのピアノ作品集

Ronn Yedidia

GWで田舎でのんびりしていたら更新もご無沙汰になってしまいました(^^;)。

先日のSorabjiの7段譜を載せていたサイトを見ていたら、面白そうなディスクが紹介されていたので買ってみました。Ronn Yedidia(ロン・イェディディア, 1960-)という作曲家兼ピアニストのピアノ作品(自作自演)集で、曲は'12 Grand Etudes'から第3, 5, 6, 7, 8, 10番、ピアノソナタ第3番、Appartionsほか全10曲。やはりエチュードという言葉に惹かれてしまいます(笑)。2000年にリリースされたCDです。

ざっと聴いてみた印象としては、なかなか面白い曲集という感じです。3番ソナタが'85年、そのほかは'90年代に作曲された作品ですが、この頃はもう難しい理論とか前衛性とかそういうものに囚われないで自由に(自分の好きなように)作曲できる時代ということか、現代音楽のような難解な感じはまったくなく、ピアニスティックで聴きやすい音楽になっています。Grand Etudesはいかにもエチュードらしい、無窮動的な曲。(ちなみに3番はHamelin、5番はKissin、10番はPogorelichに献呈されています。)個人的には第7番('Flight Over the Ocean'という題がついています)が一番印象に残りました。大海原の波を思わせる音型の上に旋律が奏でられ、Smetanaの'海辺にて'を思い出させるところもあります。Appartions(幻影)もエチュード的な技巧的な曲でこれもコンサートで聴き映えがしそう。でも今回一番面白いと思ったのは3番ソナタかもしれません。単一楽章の曲ですが大きく3つの部分からなっていて、Prokofiev風、Webern風、Stravinsky風(春の祭典の終盤を思わせる)なところが混じっています。作曲されたのは一番古いですが、雰囲気的には一番現代風で、結局のところ私はこのくらいの適度な不協和音というか無調っぽいところがあった方が楽しめるということなのかもしれません。

とりあえず、続編が出たらまた聴いてみたい感じです。