DemidenkoのTchaikovskyピアノ協奏曲第1番

Nikolai Demidenko

先日のブログでTchaikovskyのピアノ協奏曲第1番があまり好きではないと書きましたが、その私が今気に入っているのがNikolai Demidenko(ニコライ・デミジェンコ)による演奏です。バックはお馴染みのLazarev/BBC so.。この曲はそれほど好きでないだけに、たとえ気になるピアニストによるものであってもなかなか積極的に聴こう(買おう)とは思わないのですが、この盤もどちらかというと併録のScriabinのピアノ協奏曲に興味があって買ったもの。実は買った当時はあまり真剣に聴かなかったのかそれほど印象に残ってなかったのですが、割りと最近になって聴き直してみて、実は凄く良い(というか私の感性にピタっとくる)ことがわかりました。'93年録音です。

個人的にはこの曲はバリバリと馬力で攻める品のない演奏ではダメで、かと言って歌心だけのおっとりした演奏も物足りず、やはり高度な技巧と豊かな抒情性が同居していなければいけないと思っているのですが、その点Demidenkoの演奏は(ご存知の通り彼は私のお気に入りのピアニストなので、以降は多少割り引いて読んでもらってもいいのですが(笑))いつものように抒情味と詩情溢れるタッチをベースとしながらも、ここぞというところの技巧のキレも鋭く、歌も自然で作為的なところがなく、そして(ここがかなり重要ですが)ピアノの響きが美しく録られています。不満なところとしては、終楽章のロンド主題の音量がちょっと小さくて、con fuocoにしては大人しすぎるところですが、それでもコーダのダブルオクターヴはキレ、迫力とも十分です。

まあ、先にも書いた通りそれほど好きな曲ではないので他盤もあまり聴いたわけではありませんが、今のところ唯一、繰り返し聴いて飽きない盤です。ちなみに併録のScriabinの方ですが、こちらはもうちょっと聴き込まないとその良さはわからないかな、でもあまり聴く気にもならないかなといったところです(^^;)。