PetrovのChopinスケルツォ&バラード集

Nikolai Petrov

前回に引き続いてNikolai Petrov(ニコライ・ペトロフ)の中古CDで、今回はChopinのスケルツォ&バラード全集。PetrovとChopinという組み合わせはあまりイメージに合わない(私だけかな?)のですが、こういうのも録音していたんですね。

聴いてみたんですが、ひと言で言うと、まあまあ、というところでしょうか。失望するというほど悪くはない、でも印象に残るとか気に入るというほどでもない。音質は例によって乾いて古びた感じで(録音年は不明)、これがScarlattiではある意味曲にマッチしていたのですが、Chopinとなるとやはりもう少し潤いが欲しいところです。潤いが不足するとどうしても抒情性とか響きの美しさを感じにくくなります。

個別に言うと一番しっくりきたのは最初のスケルツォ第1番。冒頭の急速な動きのところは彼らしいキレがあって、乾いた音も歯切れの良さにつながって生き生きしています。2番も悪くはないですがやや特徴に欠け、3番も主部のダブルオクターヴの動きなどはよいのですが中間部の下降音型ではもう少し繊細さがあるとよい感じです。4番は連続和音の上行・下行の音型(第17〜24小節)がやや鈍重く、もう少しleggieroに行きたいところです。バラードの方はスケルツォに比べると全体的にさらにもうひとつで、たとえば第1番のコーダなどはもう一段のキレとスピードを期待したいところですがやや平凡。

あと、ところどころ音がかすれて(抜けて?)聴こえるようなところがあって、全体的にこのCDは拙速で作られたような印象を受けます。Olymiaから出ている幻想曲集を聴くと、彼は抒情的あるいは幻想的な曲に向いていないわけでは決してないので、Chopinももっとよい条件で録音させてあげたかった気がします。