佐藤卓史の自主制作コンサートライヴ

少し遅れましたが明けましておめでとうございます。今年も何とか週2回ぐらいのペースで更新していきたいなと思っているので、よろしくお願いします。

さて、佐藤卓史と言えば、2001年の音コン第1位、去年のChopinコンクールでも2次まで進んでいて(残念ならが私はほとんど見られませんでしたが)気になるピアニストの一人なのですが、自主制作盤のコンサートライヴCDが発売されていたので早速聴いてみました。曲はMozartのソナタ第3番、Beethovenのソナタ第12番、Prokofievのトッカータ、Faureの夜想曲第6番、Ravelクープランの墓、Chopinの前奏曲Op.45とポロネーズ第5番、そしてLisztのソナタと、「2時間・ピアノコンサート」と銘打っているだけあっててんこ盛りのプログラムです。録音は2004年10月。

彼の演奏を聴くのは音コン以来なのですが、予想通り洗練されたテクニックの持ち主で、全体的にすっきりあっさり味ですが、自然でのびやかな表情で、音が硬くならないのがよいところです。個人的にはもう少し間とか微妙な陰影があるとよいと思うのですが、あまり音楽が粘らないのは彼の持ち味ともいえます。
逆に意外なのは結構、というよりかなりミスが多いことで、音コンで聴いたときはミスをほとんどしないタイプだと思っていたのでこれは意外。音をひっかけるとか指が転ぶとかいうのではなく、フォルテの和音などで思い切りはずす(別の音を出す)ことが多い感じです。特に最後のLisztは疲れも出たのかミスが目立ち、フーガではかなり危ないところがありましたし、コーダの直前も派手にはずしたりします。実はこのCDの他に「Chopinの夕べ」というCDも出ていて、そちらが2枚組2000円なのに対し、こちらは2枚組1200円と割安なのはこの瑕の多さからきているのかと変に勘ぐってしまうほどです(多分違うでしょうけど)。ということで彼には是非万全な状態でのスタジオ録音でのCDのリリースを期待したところです。と言ってもスタジオ録音での「借りた猫」症候群にはなって欲しくないですが。