LortieのChopin前奏曲集

Louis Lortie

先日のブログで、自分はまだChopinの前奏曲でコレ!という盤に出会っていない、でもLouis Lortie(ルイ・ロルティ)盤はまだ聴いていないので買ってみようかな、などと書いていましたが、買ってきました。録音は'97年、併録は前奏曲Op.45、アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズOp.22、ポロネーズ幻想曲Op.61です。

聴いてみたのですが、正直なところ自分の中ではまだ決定盤とまではいかないけど、でもかなりいい線行っているようです。まず第一に音がいい(というか私好み)です。彼のエチュード集でもそうでしたが、潤いのある響きが心地よいっす。演奏の方も、詩情豊かで、ニュアンスに富んでおり、また表情が自然です。解釈が変にコッテリせず、清潔感があるのも好みです。技巧のキレの面では(そもそもそれほど技巧的な見せ場が多い曲ではないので)特別に凄いところはありませんが、不足はありません。全体に、激しい曲よりも歌に溢れる曲がいい感じで、特に15番、17番、23番あたりに心惹かれました。逆に激しい曲(16番、24番など)はやや迫力不足といった感じで、これは彼の他の録音にも共通して言えることですが、抒情性を追い求める結果なのか、起伏が奥ゆかしくなりすぎるというか、ダイナミズムに欠ける面が見られます。Op.22の方もそういう意味で、アンダンテ・スピアナートは音色などが素晴らしいのですが、ポロネーズの方は、(これほど詩情に溢れた演奏も珍しいとは思うのですが)もう少しシャキッと躍動的だったらなぁ、という感じです。ポロネーズ幻想曲も同様で、agitatoの部分とか最後の盛り上がりなどはもっと激しさや畳み掛ける感じが欲しいところです。

というわけで、理想の前奏曲集を求める旅はまだ続く…かな。