BlochのLisztオペラ編曲集

先日のブログで触れたBoris Bloch(ボリス・ブロッホ)のLisztオペラ編曲集ですが、思いのほか早く入手できたので、早速聴いてみました。録音は'88年ということなので彼の30代後半のときの演奏ということになります。(ちなみにライナーの写真を見ると、危ない兆候はあるものの髪の毛はまだ健在です(笑)。)曲はノルマの回想、ランメルモールのルチアの回想、トラヴァトーレよりミゼレーレ、リゴレットパラフレーズアイーダより神前の踊りと終幕の二重唱。

一聴した印象ですが、前回聴いた盤に比べると彼に対する印象はだいぶ持ち直した感じです。この間感じたような、タッチの洗練感の無さはありませんし、そこそこしっかりした技術は持っているように思います。(ちなみにライナーの経歴を見るて気が付いたのですが、'78年のブゾーニコンクールで第1位、近年注目の新人を多く輩出しているヤング・コンサート・アーティスト・国際オーディションにも'76年に優勝しているようです。)ただやっぱり、胸のすくような鮮やかなテクニックかと言われると難しいところで、ノルマの最難部(「戦いだ!」)からラストのStrettaにかけては技術的に苦しそうですし、リゴレットパラフレーズも数多のの名演と比べるとちょっと弱い感じがします。神前の踊りと終幕の二重唱もBellucciの秀演を聴き慣れた耳にはちょっと物足りないですし、ルチアに関しては最近聴いたJ.Hattoの方が印象に残っています。(テクニックだけでなく、歌心の面でもやや淡白かなという気がします。)

というわけで、全体的にはもう一押し足りないというところでしょうか。ただ前回聴いた盤と比べると、録音条件の違いもあるでしょうが、ピアニストのピークは20〜30代という私の以前からの考えを補強する例にはなっているように思います。