Rebsteinのデビュー盤

Antoine Rebstein

CDジャケットの写真映りの良さと演奏内容には相関関係がある、なんてことを前回書きましたが、今回は(Bloch盤とは逆に)写真映りのよさでなんとなく買ってしまった盤。

Antoine Rebstein(アントワーヌ・レブシュタイン)というピアニストですが、右手を故障してしまったということで左手のための曲を集めています。収録曲はBach/Brahmsシャコンヌ、Saint-Saensの6つのエチュードOp.135、Lipattiのソネチネ、Schulhoffの組曲第3番、J.StraussII/Godowskyの「ジプシー男爵」の宝のワルツの主題による交響的変容など。正直かなり渋いです。結構迷ったのですが、CDジャケットの写真を見るとどこかartな雰囲気が漂っていて、ひょっとして凄い才能かも、ってことで買ってみました。(いわゆるジャケ買いってやつに近いですね。)ちなみにCDジャケット(表)はうつむき加減で顔がよく見えないのですが、裏やライナーの写真をみるとかなりの美青年という感じで、デビュー時のP.Jablonskiに匹敵しそうです(笑)。

で、内容なんですが、正直これらの曲に対する感度があまりないのではっきりは言えないのですが、全体的に誠実かつ丁寧な演奏で、1音1音を大切にするタイプという感じです。潤い豊かな録音も優秀で、抒情的な雰囲気が漂っています。一方、指回りの良さや動きの俊敏さでアピールするタイプではなく、そのあたり例えばGodwskyではワルツのリズムがそれほど感じられなくてややもどかしい気もします。そういう意味では全般的にstaticな演奏で、静謐な中にももう少し溌剌さや躍動感、ダイナミズムみたいなものが感じられたらさらによかったかなと思います。ただこれは演奏というより曲の問題もあるかもしれません(たとえばBrahms編曲のシャコンヌなど、Busoni編を聴き慣れた耳にはどうしても物足りなく感じられてしまうのかも。)

とりあえず、手の故障にめげず今後も頑張っていただきたいというところです。