Garrick OhlssonのChopinポロネーズ全集

Garrick Ohlsson

Garrick Ohlsson(ギャリック・オールソン)のポロネーズ集と言えば、昔EMIの廉価レーベルであるRoyal Classicsから第1〜6番とポロネーズ幻想曲、Op.22を1枚に詰め込んだ盤が出ていて、私も愛聴していたのですが、最近これに初出時のLP盤に含まれていた残りの9つのポロネーズ(8〜16番)などを加えた2枚組廉価盤CDがリリースされました。8〜16番はChopinの若い頃の作品であまり積極的に聴こう思わない曲なのでこのためだけにまた買うのは気が引けたのですが、ほかに幻想曲や舟歌も収録されているということで買ってみました。(他に埋め草?としてR.Smithによる演奏も入っています。)

感想というと、やっぱり8〜16番は(面白いと思う瞬間もありますが)トータルとしてはやはり少し魅力に欠ける感じです。これらはDemidenkoの演奏で聴いてもあまり印象に残らなかったので、演奏の問題というより曲自体の問題なのでしょう。その中では作品番号の付いたOp.71の3曲がよい方という感じですが、それでも比較的というところです。そうなると関心は幻想曲と舟歌ということになりますが、こちらも期待ほどではありませんでした。Ohlssonのポロネーズ集は、明るく輝かしい音色と、チマチマしたところのないスケールの大きなピアノの鳴らっしぷりと歌心が魅力だと思っているのですが、舟歌はまだよいとして、幻想曲の方はちょっと大味過ぎるというか、もう少し繊細さや深遠さ・幻想性があってもよいのではないかと思いました。ただ念のために言っておくと、ポロネーズ幻想曲はなかなかの秀演です。

ちなみOp.61は「幻想ポロネーズ」よりも「ポロネーズ幻想曲」の方がよりふさわしいのでないかと思っているのでこう書いています。やはりこの曲は(幻想的なポロネーズではなく)ポロネーズを織り込んだ幻想曲でしょうと。(「雪かき」→「雪嵐」などよりさらに無駄な抵抗だと思いますが。)