BrautigamとBilsonのHaydnクラヴィーアソナタ集

Ronald Brautigam

先日のブログで小島芳子のHaydnクラヴィーアソナタ集について書きましたが、それに匹敵するような時代楽器での演奏がないかと思って店頭で上の2つを見つけて聴いてみました。(いずれも新譜ではありません。)その感想を。

まず最初はRonald Brautigam(ロナルド・ブラウティガム)盤。彼はHaydnのクラヴィーア曲全集を録音しているのですが、BISの30周年記念で少し安くなっている盤を購入してみました。曲はHob.XVI-34,40,41,42,47,48。
感想ですが、やはり彼のMozartと同様、(Staierほどではありませんが)ちょっとサラサラと流麗過ぎる感じがします。個人的にはもう少し粘っこいと言うかひっかかりがある方が好みかなと。現代ピアノで弾いているをの単に時代楽器に置き換えたような印象を受けます。これならばSchiffの方がよほど時代楽器を意識した解釈になっているような気がします。ただ指回りは大したもので、Hob.XVI-40の第2楽章辺りをBilson盤と聴き比べるとその差は歴然です。

そしてMaclom Bilson(マルコム・ビルソン)盤の方はHob.XVI-20,39,40,43,50。2003年録音なのでもう70歳近くのときの録音です。解釈としてはこちらの方がずっと私の好みに合っているというか、ジャスト・ミートに近いです。Hob.XVI-20など、かなり遅めのテンポをとりながらしみじみと心に染み入ってきます。ただいかんせん(お歳のせいか)急速楽章で指回りに難ありです。さきほどのHob.XVI-40も、第1楽章はBilson盤の方が好きなのですが、第2楽章は明らかに指が回っていないところがあります。彼は80年代の初めにLPでHaydnを録音しているそうですが、そのころにもっと録音をして欲しかったですね。

というわけで、2つの盤を聴いた感想は、Bilsonの解釈とBrautigamの指回りが合わさったらなぁ、というところです。Brautigamの全集の他盤は(値段もやや高めなので)今のところ買う気がちょっと起きない感じです。Haydnの時代楽器によるクラヴィーア曲集については、私の好みに合う盤を今後も探していきたいところです。