VesselinovaのMozartピアノソナタ全集

Temenuschka Vesselinova

昨日の小島盤の話の中でMozartのピアノソナタの話が出てきたので、今日はそれに関して。表題のTemenuschka Vesselinova(テメヌシュカ・ヴェッセリノーヴァ)によるMozartピアノソナタ全集は時代楽器による演奏では私が一番愛聴している盤です。
彼女の名前は以前ブログにも書いたBanchiniとの共演によるMozartのヴァイオリンソナタ集で知ったのですが、そのときのピアノ伴奏(というにはむしろピアノが主役の曲が多いですが)がなかなか良いということで買い求めたものです。(やはり10年くらい前ですね。)
昨日も書いたようにMozartのピアノソナタは今は時代楽器による演奏の方が好きで、これまで上記盤以外ではLubimov, Hakkila, Bilson, Brautigam, P.Cohen, Semerjianなどを聴いている(すべての曲を聴いているわけではありません)のですが、その中では自分に一番合っています。決して「上手い」という感じではないし、これが一番優れた盤だと主張する気もありませんが、小島盤と同様、アゴーギクや強弱など(私の思う)各曲のツボをよく押さえています。
特に良いのが中期ソナタ(第7〜13番)を収めたVol.Ⅱで、もし試しに聴いてみるのであればこれをお奨めします。有名なトルコ行進曲では冒頭の前打音を短前打音にして弾いており、最初は違和感があるかもしれませんが、個人的にはこちらの方が好きです。考証的には通常の弾き方とどちらがauthenthicなのか私にはわかりませんが、以前放送大学か何かで渡邊順生氏がこの弾き方の演奏を紹介していたので、現在は結構有力なのでしょう。
ちなみに最近Staierがこの曲を録音していましたが、店頭で試聴した限りは、トルコ趣味を出すというよりは単に奇を衒った感じがしてあまり好もしく思いませんでした。(ちなみに冒頭は通常の弾き方。)