小島芳子のHaydnクラヴィーア作品集

Kojima Yoshiko

先週は時代楽器盤の話が続いたので、今日もそれに引き続いて。と言っても去年買った盤なのですが、非常に気に入っています。演奏者の小島さんは昨年の5月に肺癌で若くして亡くなっており、その追悼盤ということで昨年再発売されたものです(初出は98年)。収録曲はソナタのHob.XVI-32,37,49,50と、アンダンテと変奏曲Hob.XVII-6。
私はMozartのクラヴィーア曲については現代ピアノよりも時代楽器による演奏の方が好きなのですが、Haydnについてはまだそこまで行っていませんでした。が、この盤を聴いて認識が変わりそうです。これからはHaydnも時代楽器だなと。と言っても単に楽器を現代ピアノから時代楽器(フォルテピアノ)に変えるだけではダメで、その時代の奏法というか語法(アゴーギグの付け方やアクセントの付け方等)が重要ですね。
実際、この後でStaierの盤(3枚組)が安かったので買ってみたのですが、(少なくとも私には)納得がいきませんでした。彼は非常に上手いし流麗なのですが、あまりにひっかからずにサラサラ流れていくようで、わざわざ時代楽器を使って弾く意味があまりないように感じられました。これは以前BrautigamによるMozartソナタ集を聴いたときも少し感じたことです。
その点、小島盤はよくツボを押さえています。この盤以外にHaydnを出していたらきっと買い揃えていたでしょう。惜しい人を亡くしました。