Lise de la SalleのShostakovich/Liszt/Prokofievピアノ協奏曲第1番

Lise de la Salle

彼女にとっては2枚目のアルバムにあたるJ.S.Bach & Liszt集を聴いて以来、大いに注目しているLise de la Salle(リーズ・ドゥ・ラ・サール)の3枚目のCD。今回はコンチェルトということですが、Shostakovich, Liszt, Prokofievのそれぞれの第1番を1枚にまとめるという一捻りしたプログラムになっています。

la Salleの美点は、まだ10代という年齢に似合わぬ精緻かつ入念にコントロールされたタッチと、それによる細やかな表情にあると思っているのですが、一方コンチェルトではオケに負けないようなメリハリのある表現や強靭な打鍵、スケールの大きさが要求され、そのあたり彼女には向いていない面もあるのではないかなと思っていたのですが、今回のCDを聴く限り(もちろん編集でピアノの音量はどうにでもなるのですが)そういう不安は当たらないようです。3曲ともかなり質の高い演奏と言えるでしょう。ただ、よく指は回っているしテクニック的にもまったく不安はないのですが、個性というか存在感というか、そういったアピールという点ではまだ物足りない面も正直あります。要するに(同曲異演がたくさんある中でこの盤を)繰り返し何度も聴きたいという気を起こさせるかどうかということ。もちろん細かく聴いていけば、Shostakovichの終楽章での部分部分のテンポ設定とか、Lisztで時に左手を強調するなど、彼女の個性が出ているところもあるのですが、それが全体的な魅力にまでつながっているかどうか。あと個人的にはShostakovichの終楽章の例の最後のソロの部分の急減速はやはり頂けないし、Lisztでは冒頭主題での両手跳躍は(特に第3楽章での再現場面では)もう少し畳み掛けるような加速感が欲しいところです。

とは言ってもやはり彼女には今後も期待。ということでもし次のコンチェルトアルバムを出すなら、今回と同じ作曲家の第2番シリーズにしてくれると嬉しいところです。(それだと一枚に収まりきらないかな…。)