Tzimon BartoのHaydnピアノソナタ集

[Ondine ODE1154-2]

Bartoのことだから今回も濃ゆいHaydnを聴かせてくれるのかなと思っていたが、果たしてその通り。特に緩徐楽章は並々ならぬ思い入れがあるのか、極端なスローペースに慈しむような弱音、常に表情を変化させる音色など、独自の世界に入っていく。(例えばテンポ一つとっても最初のHob.XVI/1の第2楽章がOort盤が3:35なのに対しBartoは6:54と倍近い。)急速楽章の方ももちろん旺盛な表現意欲に溢れているが、ただ指回りに関して細かい走句での粒の揃いなどもう一つ安定感や洗練さに欠ける面があり、こういう古典派はごまかしが利かないだけにちょっと気になった。