Manze/EgarrのSchubertヴァイオリンソナタ集

Andrew Manze/Richard Egarr [HMU 9074

このところJ.S.BachやMozartだけでなくBeethovenやSchubertのヴァイオリンソナタでも時代楽器盤のリリースが相次いでいるようで、今度はAndrew Manze(アンドリュー・マンゼ)とRichard Egarr(リチャード・エガー)によるSchubertのヴァイオリンソナタ集。このコンビは一昨年にはMozartのソナタ集を出していました。

Schubertソナタ集と言えば、昨年の最も印象に残った10枚にも挙げたM.Seiler/Immerseel盤が記憶に新しいところで(曲目も全く同じ)、当然それとの比較になるわけですが、結論から言えば私の好みはやはりSeiler/Immerseel盤のようです。Manze/Egarr盤は使用しているのはもちろん時代楽器なのですが、奏法に関してはモダンに近いものがあって、ヴィブラートは普通に音の頭からかけていますし(多少は抑制している?)、messa di voceもあまり行っていません。(逆にモダンの演奏に慣れている人には受け入れられやすいのかも。)Schubertの時代の演奏としてはどちらがよりauthenticなのかわかりませんが、いずれにしても私にとってauthenticityは二義的なもので(でなければJ.S.Bachの鍵盤曲を好んでピアノで聴いたりしない^^;)、結局はどちらが好きか、あるいは聴いていて気持ちよいかということになって、となるとSeiler/Immerseel盤に大きな魅力を感じます。もちろんManze/Egarr盤にもよいところはあって、音の運びが滑らかですし、音程もより安定しているようなんですが、ただそのために(開放的な響きなど)犠牲になっているところもある気がします。ということで、今後もしこのコンビでBeethovenのソナタ集などが出たとしても多分買わないだろうなぁと思っています。