Herbert Schuchのデビュー盤
最近聴いたCDから、Herbert Schuch(ヘルベルト・シュッフ)のデビュー盤について。曲はSchumanのクライスレリアーナとRavelの鏡。実のところクライスレリアーナはそれほど好きな曲ではなく、買おうかどうか結構迷ったのですが、結論から言うと買って正解でした。
まずクライスレリアーナがなかなか良いです。苦手な曲なので実はCDもあまり持っておらず、あったとしても別の曲目当て買ったCDにたまたま入っているパターンがほとんど(例外は高橋悠治盤くらい)なくらいなので、どこがよいのかは説明しにくいですが、あまり幻想性とかロマンティシズムに傾き過ぎず、構成感や明晰性を大切にしているのが私に合っているのかもしれません。(もっと狂気とか不健康さを望む人には物足りないのかもしれませが。)音楽センスも感じられますし、技術的にも冴えています。
鏡の方は特に道化師の朝の歌が気にっています。キレがあり、それでいて単にスピードや力技で攻めるのではなく、細かなニュアンスやタッチなどよく推敲されている感じです。和音のアルペジオの処理など解釈の面でも彼のこだわりが見えます。全体的に知的なものが感じられると言ったらよいでしょうか。
とりあえず、彼は今後も要watchのピアニストと言えるでしょう。